網膜静脈閉塞症とは
症例写真
- 網膜中心静脈閉塞症(CRVO)
- 網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)
網膜静脈閉塞症はどんな方がなりやすいのですか?
網膜静脈閉塞症は高齢の方がかかりやすい病気ですが、特に高血圧の方に起きやすい病気です。これは、高血圧によって、網膜血管の硬化性変化が影響しています。
どのような症状が出ますか?
症状は、どの静脈が詰まるかで異なり大きな差があります。網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)のように網膜の一部に閉塞が起こった場合、行き場を失った血液があふれ出して、眼底出血や網膜浮腫を起こします。出血している部分は、瞳孔から入ってくる光が網膜まで届かないため、その部分の視野が遮られます。 眼底の出血自体は、ゆっくりと時間をかけ引いていきます。出血が引いた後、最終的にどの程度視力が回復するかは、視力にとって一番大切な、黄斑の障害の程度によって異なります。閉塞の部位や程度によっては、まったく症状に気づかれない患者様もいらっしゃいます。一方、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)のように根元が閉塞した場合は、眼底一面に出血や浮腫が広がり、当然黄斑にも出血や浮腫が強く起きますので、急激な視力低下、眼痛、物がゆがんで見えるなどの視力障害が起きます。出血は時間とともに引いていきますが、嚢胞様黄斑浮腫に進行したり、毛細血管が消失して血流が再開せずに、網膜の機能が奪われたままで、視力が回復しないことも少なくありません。
どのような治療を行うのですか?
網膜静脈閉塞症の根本的な治療はありません。症状の程度によりますが、急性期にはまず薬で閉塞した血管に血流の再開を促します。完全に閉塞した静脈が再疎通することは稀ですが、閉塞が不完全な場合には、血流障害の影響を少なくできます。黄斑のむくみ(黄斑浮腫)をとる目的で抗VEGF中和抗体(ルセンティス・アイリーア)を硝子体注射行う場合があります。その後、経過観察を行い、網膜内での出血がある程度吸収された段階で、硝子体出血や血管新生緑内障の合併症の予防のためにレーザー治療を行います。蛍光眼底造影検査(写真参照)で、新生血管が発生しそうなところや長引いた浮腫を早めに見つけ、早めに凝固していくことが大切です。