レーシックと眼内コンタクトレンズ(ICL)どっちがいい?
近視・遠視・乱視など視力の問題を解消するためのレーシックとICLには、それぞれ得意とする分野があります。レーシックは、角膜の表面をレーザーで削り取り、その形状を変えることで視力を矯正する手術です。軽度の近視ではICLよりもレーシックの方が適している場合があります。 ICLは、眼内にコンタクトレンズを挿入する手術で、角膜の形状を変えずに視力を矯正します。レーシック・ICLそ…
近視・遠視・乱視などの屈折異常で眼鏡やコンタクトレンズがないと生活ができない方にお勧めの屈折矯正による治療法をご紹介します。
眼鏡やコンタクトレンズ無しで、裸眼で生活が可能な屈折矯正手術として、オルソケラトロジー、ICL手術、多焦点眼内レンズ、レーシックがあります。
それぞれ手術の内容や適応範囲、費用などが異なります。治療を比較した上で、ご自身に合うものをお選びいただくことが大切です。
オルソケラトロジーは、特殊なレンズを装着して寝ている間に角膜の形状を矯正することで、近視や遠視などの屈折異常を一時的に改善させる治療法です。
就寝中はレンズを装着し、起きたらレンズを外せば、日中は裸眼で生活することが可能です。
治療を開始してしばらくの間は、屈折矯正の持続時間が短いですが、毎日続けることで1~2か月後には、眼鏡やコンタクトレンズ無しの状態でも良好な視力でお過ごしいただけるようになります。
手術なしで安全に近視矯正が可能ということで、世界的に注目されている治療法です。
ICLは、近視・延伸・乱視を矯正するレンズを角膜の内側に挿入させて、良好な視力を得る治療法です。眼内にレンズを挿入することで、眼鏡やコンタクトレンズをつけずに裸眼で快適にお過ごしいただけます。
レーシックのように角膜を削る必要が無いので、万が一の時にはレンズを外して元の状態に戻すことも可能です。また、レーシックでは一部の方に近視の戻りがみられますが、ICLは角膜を削らないのでそのような心配はありません。
さらに、強度近視やドライアイ、角膜が薄いなどレーシックが受けられない方も、ICLの手術が受けられます。
多焦点眼内レンズは、白内障手術の際に眼内に挿入される人工レンズです。白内障手術によって濁ってしまった水晶体を取り除ぞき、その代わりに多焦点眼内レンズが挿入されることで、視力の回復と矯正が行われます。白内障は50代後半~60代から発症し始める病気です。そのため、白内障手術を実施する方には老眼による屈折異常を伴っていることもあり、老眼の治療としての意味合いを持って手術を実施することもあります。
多焦点眼内レンズは、近くから遠くまでの幅広い距離でクリアな視界を提供する特徴があります。これにより、老眼による近視矯正や遠視矯正、乱視矯正が同時に行えるため、メガネやコンタクトレンズの使用を最小限に抑えることが可能です。
手術後、多焦点眼内レンズを装着した眼は、異なる焦点を持つ複数のリングからなるレンズを通して光を受けることによって、視力を調整します。これにより、異なる距離の対象をクリアに見ることができるようになります。
ただし、多焦点眼内レンズはあくまで個人の適正に合った治療法であるため、すべての白内障患者に適応できるわけではありません。手術の前に医師との十分な相談が必要です。手術の適応やリスク、手術後のケアについて十分に理解し、専門医の指導に従うことが重要です。
オルソケラトロジー | ICL手術 | 多焦点眼内レンズ | レーシック | |
---|---|---|---|---|
角膜への影響 | 削る必要が無い | 削る必要が無い | 削る必要が無い | 削る必要がある |
見え方(感度・コントラスト) | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 |
強度近視や乱視の対応 | 適応できない | ◎ | レンズによって強度近視・乱視に対応可能 | △ |
元の状態に戻せるか(可逆性) | オルソケラトロジーレンズの使用を止めれば元に戻ります | レンズを取り出せば元の状態に戻すことができる | 水晶体の代わりにレンズを挿入するので元に戻すことはできません。 | 角膜を削るので、元に戻すことはできません。 |
ドライアイのリスク | ほとんどありません | ほとんどない | 少しあります | 可能性が高い |
白内障への影響 | ありません | ほとんどない | 白内障の治療として実施します | 可能性がある |
治療の歴史 | 1960年代~ | 1980年代~ | レンズによって歴史が異なります | 1990年頃~ |
紫外線・UVカット | 日中は裸眼です | あり | あり | なし |
手術・治療費用 | 両眼で15~20万円 | 両眼で60~80万円 | 選定療養 28~33万円 自費診療 50~66万円 |
両眼で20~40万円 |
※記載内容のチェックをお願いいたします。
医療法人聖佑会 おおしま眼科グループ 代表。
大阪大学医学部卒・医学博士。多根記念眼科病院、大阪労災病院、大阪大学医学部眼科講師、東京西葛西井上眼科病院副院長を歴任。
2014年におおしま眼科クリニックを開院し、2015年に医療法人聖佑会理事長に就任。現在、大阪府下(高槻、八尾、松原)にて眼科手術専門施設3院を統括。年間手術総数5,000例を数える日本有数の日帰り手術施設に成長。
ICL(眼内コンタクトレンズ)みのならず、白内障手術や網膜硝子体手術に対しても幅広い知見と執刀経験を持ち、新しい術式開発で国際的に評価されている。ICL手術をはじめ、年間3000例以上の内眼手術を執刀するかたわら、今も世界各地で講演および手術ライブを行い、米国眼科学会、ヨーロッパ白内障・屈折矯正学会、アジアパシフィック眼科学会、アジアパシフィック屈折矯正学会などにて受賞多数。Best Doctors in Japanを2014年より現在まで6期連続で選出。