黄斑前膜

黄斑前膜とは

眼球の網膜の前に線維性の膜が張って黄斑がそれに遮られて見えにくくなってしまう病気です。この病気は、黄斑円孔と同じく硝子体の収縮が関係して起きるため、高齢者に多く、女性に起きやすい病気です。加齢の他に、網膜剥離や網膜裂孔の治療後、あるいはその他の眼底の病気に続いて生じることもあります。黄斑円孔のように視野の中心が全く見えなくなることはありませんが、網膜にしわが生じ、物が歪んで見えたり、視力が低下します。頻度的には黄斑円孔よりも多くみられます。

膜はどうやってできるのですか?

加齢による後部硝子体剥離が起きる過程で、硝子体と網膜の癒着が強い場合、硝子体の一部だけが網膜に張り付いて残ってしまいます。そのあと、残っている硝子体から新たな細胞が増殖して膜を形成していきます。これが黄斑前膜です。前膜の形成が進むにつれて、ゆっくりと視力が低下していきます。また、物が歪んで見えたり、大きく見えたりもします。

どのような治療を行うのですか?

薬で改善することはできませんので、進行したら硝子体手術による治療を行います。

どのような手術を行うのですか?

硝子体を切除し、そのあとで前膜を剥がす手術を行います。局所麻酔下で約30~40分の侵襲に極めて少ない手術ですので、日帰り手術が可能です。

術前後の黄斑前膜の症例

  • 術前

    術前特発性黄斑前膜。視力(0.1)。

  • 術後

    術後硝子体手術による膜剥離を行い、
    視力は(0.7)に改善しました。

手術のタイミングは?

視力がかなり低下してしまってからだと膜を除去しても視力が良くならないことがあります。ただ急に悪化するような病気でもないので急を要することもありません。歪みが気になったり、視力低下が気になるようなら手術を考えてください。視力の目安としては視力が0.3~0.7前後に低下した段階での手術が効果的です。

術後の視力はどれくらい良くなりますか?

術前の視力が0.5前後なら、手術から数か月の期間で網膜の修復がゆっくり進み、視力はが改善する場合が多いです。しかし、術前の視力が低い場合は、網膜視細胞の変性が進んでしまっていることが多く、術後も視力が十分には回復しないケースがあります。

手術の合併症は?

硝子体手術の一番多い合併症はやはり白内障です。このため多くの場合、同時に手術してしまいます。網膜裂孔や網膜剥離については、黄斑前膜の患者さんはすでに後部硝子体剥離が起きたあとの人が多いので、頻度としてはそれほど多くありません。

再発することはありますか?

約5パーセントの人が再発しますが、手術が必要になるほど進行する人は3パーセントぐらいです。また最近は手術中に内境界膜をとるようになってきて、再発率がずっと減ってきています。

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